1200年前に思いを馳せて隋代古刹【世界旅行記中国編浙江省その1】

2022年1月6日アジア, 夫婦で, 海外2009年, アジア, 中国, 浙江省

天台山国清寺

オイラは学生時代以降、京都の比叡山ふもとで学んだり暮らしたり活動したりしていたため、比叡山延暦寺にはちょくちょく足を運んだものだ。

別に仏教徒では無いものの、比叡山のふもとで育ててもらったという思いだけで「一隅を照らす」を座右の銘として人間が形成され、何らかの影響を相当受けてきたと勝手に思っている。

偶然なのか必然なのか、2006年4月から2008年3月までも比叡山のふもとである京都市左京区に住むこととなり、その後、2008年8月から自分の意志とは関係せず中国に住むこととなったのは、何かの縁だったと信じてやまない。

その為、比叡山を見るたびに、遥か1200年前に最澄はどういう思いでどれほどの苦労をして中国に天台宗を学びに行ったのか知りたい、と常に思っていたことから2009年6月にこの地を訪れに行ってきた。

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この旅の魅力

国清寺は、大乗仏教の宗派である天台宗を開祖した智顗によって建設、同氏没後598年に完成した天台宗の総本山である。当時は天台寺と呼んだが、後に国清寺と改名。文化大革命の際に破壊されたが、1973年に復興している。この旅は、平安時代初期804年から805年にかけて最澄が唐の天台山に行き、翌年に日本の仏教(大乗仏教)の宗旨が展開した1200年も前の最澄に思いを馳せる旅である。


浙江省隋代古刹国清寺はココ⇑

国清寺までの道のり

あまり観光地化していなく、ツアーもないぐらいだったと思うので、地球の歩き方を見て先ずは義烏行新幹線に乗った。
上海からでも450km、あまりに遠い。

当時の最澄の道程は、おそらく船で中国寧波まで行き、そこから約130kmを歩いて(馬で?)行ったのだろう。因みに、天台山の最高峰は標高1138m。


上海南駅より上海新幹線和諧号にて出発。


義烏駅行きに乗って寧波駅まで。

天台市

丘のてっぺんの隋塔が目印。
仏教都市天台市をひたすら車で走った。

どこかしら、周りの景色が奈良のように思えたのはオイラだけか?
京都も昔はこんな感じだったのかな。

国清寺

さあ、見えてきた。
隋代古刹の文字。

境内を散策。

大雄宝殿大雄宝殿

雨花殿雨花殿

法乳千秋と中日祖師碑亭
法乳千秋、中日祖師碑亭

国清寺へ中国と日本の友好親善を祈念して寄贈した石碑
これが比叡山延暦寺座主が1982年5月に国清寺へ中国と日本の友好親善を祈念して寄贈した石碑。すばらしい。

天台山国清寺から隋塔の眺め

南無妙法蓮華経、と書いてある。

あとは、言葉はいらないと思いますので、割愛します。
写真を見て思いを馳せて下さい。

古方廣寺
古方廣寺

国清寺を後にして、杭州へ向かいます。

比叡山延暦寺について

比叡山延暦寺と言えば、唐の天台山で仏教を学んだ最澄が「すべての人が仏に成れる」と説く法華経の人材養成を目指して平安時代初期806年に開いた日本天台宗の総本山。住職は天台座主と呼ばれる。1994年には、古都京都の文化財の一つとしてユネスコ世界文化遺産に登録された。

延暦寺は、単体のお寺ではなく、東堂、西堂、横川、の3区域(3塔)に最盛期は3000を超えるお寺で構成されたという。その中で、多くの人材が研鑽を積み、平安末期から鎌倉時代にかけて法然(浄土宗)、栄西(臨済宗)、親鸞(浄土真宗)、道元(曹洞宗)、日蓮(日蓮宗)、などが多くの宗派を開祖したことから、日本仏教の母山とも呼ばれています。

一方で、延暦寺は平安時代には皇室や貴族の尊宗を得て大きな力を持ち覇権を争ったが、その後、延暦寺は権威を持つことに加え武力、財力を備えるようになり、独立国のような状態になった。この状況が武家をも脅かし、幕府とも衝突をするようになった。戦国末期には織田信長と対立する朝倉義景・浅井長政をかくまったため、焼き打ちにあったのは有名な話である。

また、比叡山には、7年間で合計1000日比叡山の山内を巡拝する回峰行(歩く距離約4万km)、最も厳しい修行といわれる「千日回峰行」がある。

こぼれ話

最澄は、804年に遣唐使として唐に渡ったが、言語の問題により2年で帰ってきたという。
帰国後は、密教を学び、比叡山延暦寺を開基。密教や法華経、禅などの教義を統合して天台宗を開いた。

ただ、その後遣唐使仲間であった空海に師事し経典を貸し借りする仲となったが、空海は最澄があまりにしつこかったり弟子の取り合いをしたりしたため、絶縁となった経緯がある。

しかし、なんと2009年6月に天台宗と真言宗の座主の対面があり、約1200年ぶりに和解。
両者とも“ずっとお会いしたかった、と。

何年経ってると思ってんねん !! 1200ねんやぞ !! と突っ込みたかったのはオイラだけじゃないわな。

実は、不思議なことに、おいらはこのニュースをこの地で聞いた。
1200年の歴史的瞬間を、まさかこの地で聞くなんて信じられないことは起こるものだ。

お勧め

1200年前に思いを馳せて日本仏教のルーツを探りたい方は最高の旅となると思います。
オイラは、大乗仏教の源流である仏教都市の浙江省台州市天台県で霊山を登り国清寺を参拝すると不思議なことに本当に心が清められました。

ただ、少しマニアックなので、ここに行く場合は、一人で行くもしくは本当に行きたい人とにするべきでしょう。興味なければ退屈なだけなので。中国では、まだまだ観光客も少なくゆっくり見ることが出来る中国では数少ない場所の一つかも。

ほな、友人と、一人で、旅いこか。

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